主に、運動に関わる器官(骨、筋肉、靭帯、神経、筋など)を専門に診察、治療をしているのが「整形外科」です。交通事故に遭い怪我をしたときには、まずは総合病院や大学病院にある整形外科で身体に問題が発生しているところがないかを詳しく検査することが大切です。
それでは早速、交通事故治療について整形外科で「できること」、そして「できないこと」について見ていきましょう。
目次
整形外科で「できること」とは?
できること① レントゲンやMRI検査ができる
交通事故などにあったときには、事故の大きさや怪我の状態に関わらず、必ず整形外科にて診察、検査を受けるようにしましょう。
整形外科には、整骨院や接骨院、整体院とはちがい、身体の細部まで調べることができる精密検査機器がそろっているからです。
個人で開業している整形外科のなかには検査機器を一通り装備しているところもありますが、外傷がひどいときや痛みや腫れがあるときには整備が充実している総合病院や大学病院などで検査を受けるといいでしょう。MRI検査などは、大きな病院にしか置いていないケースも多く、見た目では分からない損傷箇所の早期発見にもつながります。
できること② 外傷治療ができる
整形外科では医師免許を持った整形外科医が診察や治療にあたるため、検査結果や外傷の度合いにより必要であれば「外科的手術」が行われます。
交通事故によりダメージを受けた手足の接合手術や、骨折などの外傷の治療などを受けることができます。整形外科では身体の運動に関わる器官、たとえば骨や脊髄、脊椎、神経、関節などを中心に外科手術を受けることができます。
外科手術をしたほうがいいと主治医が判断したときには、積極的に手術をすることがあります。しかし、手術の必要がない状態では、ギプスなどを装着した「保存的治療」が施されることもあります。
整形外科で手術や治療を受けて、その後の経過次第では弱ってしまった運動機能を回復させるためには「リハビリテーション」が行われます。今後の日常生活に支障が起きないように、症状が悪化しないように、主治医と相談をしながら治療を進めていきます。
できること③ 薬の処方ができる
整形外科が整骨院や接骨院、鍼灸院、整体などと大きく異なるところは、外傷の治療ができることのほか「薬の処方ができる」ということです。
痛みがあれば鎮痛剤を処方されますし、患部に熱や腫れがあれば湿布薬や塗り薬などが処方されます。鎮痛剤を飲んだだけでは痛みが解消されないこともあるため、状況によっては筋肉弛緩薬などの薬を処方されることもあります。
内服薬のほか神経にブロック注射を打つこともあります。トリガーポイント注射といった局所麻酔薬を注射することで、固くなっている筋肉を緩め血行の流れを良くするといった治療法もあります。
このような治療は痛みのもとを消すといった根本的な治癒には至っていませんが、痛みがひどく耐えられないといったつらい症状がでている患者にとっては短時間でも痛みを和らげることができる治療の一つでもあります。
整形外科で「できないこと」とは?
できないこと① むちうち症は痛みを抑えることしかできない
整形外科で治療をするうえでマイナス点があるとすれば、「むちうち症などに対する根本的な改善を促す治療が行えない」ということです。
交通事故による怪我は外傷だけでなく、精密検査では異常が発見されないむちうち症や頚椎捻挫といった症状も多くあります。痛みの原因がレントゲンやMRI検査などで写っていれば、必要に応じて外科的手術を行い治療します。しかし、検査で異常が見当たらないときには原因を取り除くというような根本的な治療が行えないのが整形外科の弱点です。
整形外科でむちうち症の治療をするとなると痛みを抑える注射を打つ、痛みを止める内服薬や湿布薬の処方くらいです。整形外科に長く通院しているにも関わらず、症状が治まるのは一時だけで時間が経つとまた痛みが出てくることも少なくないようです。
整形外科には医師免許を持つ医師が治療を行うことから、外科手術や薬の処方を受けられることが大きな魅力です。交通事故に遭ったときに一番に救急車で搬送されるのが、整形外科があるような総合病院です。外傷がひどいときや手術が必要なときには、緊急手術となり術後は入院しながら回復に努めます。
一方で、交通事故による慢性的な痛みに対しての治療法は痛みを和らげることであり、根本的な痛みのもとを取り除くため治療はあまり行われません。
交通事故治療をどこで受けようか検討しているときには、整形外科をはじめほかの治療先でできること、そしてできないことなどを参考に自分の症状に合った治療先を選ぶことが大切になるでしょう。