国家資格である「はり師・きゅう師」の免許を持つ者が施術をするのが鍼灸院です。
針や灸での治療は、痛みが伴うのではないかと心配に感じている人も多いようです。我慢できないほどの針治療や灸治療は行いませんし、技術や経験が豊富な鍼灸師の施術であればほとんど痛みはないといわれています。
鍼灸治療は目では見えない痛みや慢性的な症状にも効果があるとされていますが、近年は怪我や病気を予防するための「予防医学」として世界的に注目されています。
目次
鍼灸院で「できること」とは?
できること① 年齢に関わらず施術が受けられる
鍼灸院が世界的に注目されていることの一つに、「年齢に関わらず施術が受けられる」といったことがあります。
たとえば、妊娠中の方は治療により胎児や母体に影響を受けるかもと不安で、事故による症状がでていても痛みを我慢して精神的に追い詰められていることも少なくないようです。
鍼灸院では外科手術や薬の処方をしないため、身体に与える副作用がほとんどなく、妊娠中の方や小さな子ども、高齢者の方でも施術を受けることができます。
鍼灸治療は、国家資格を持った鍼灸師が患者の状態を把握(問診、触診、舌診、脈診など)したうえで適切な施術を行います。だからこそ、老若男女問わずだれでも安心して受けられる施術といわれているのです。
鍼灸院での治療は、妊娠中のつわりや腰痛、子どもの夜尿症、むちうち症、頭痛、肩こりなど、さまざまな症状に効果が得られるとされています。
できること② 症状を予防できる
鍼灸治療は慢性的に続く肩こりや腰痛、消化不全や便秘、女性に多い冷え性や月経不順、不妊症、精神的な面では過度のストレスによる不眠や鬱など、さまざまな症状に対して効果的であるということが分かっています。
近年、この鍼灸治療が「病気を防ぐための予防医療」だとして、世界の医療現場で注目されています。
針や灸を使った施術で痛みのある患部や周辺を刺激することにより、自然治癒力(自分の力で治そうとする機能)を高めることができます。自然治癒力が高まることで血液の循環や免疫の働きが正常になり、痛みのある部位だけでなく全身の調子を整えることができます。全身の調子が整ってくると、自律神経系の症状やアレルギー体質といった症状にも、改善の見込みがあるとされているのです。
交通事故の強い衝撃による影響は、いつどこに起きてくるか分かりません。そのため、事故のあとに生じやすい症状を未然に防ぐという意味合いで、鍼灸院の施術を受けることはとても効果的といえるでしょう。
鍼灸院で「できないこと」とは?
できないこと① 外傷や感染症治療はできない
医師免許を持っていない鍼灸師は、医療に関わる治療を行うことができません。医療行為は外傷や感染症、外科的手術といった治療です。
交通事故が原因で大きな怪我を負ってしまったときには、医療機関や整形外科で診察、検査、治療などを受けるようにしましょう。そして、医療機関での治療では効き目がでない症状を治すためには、鍼灸院などの東洋医学に頼ることを検討しても良いでしょう。
長く続いていた慢性的な症状が、鍼灸の施術を受けて劇的に改善されたという例も多いからです。
できないこと② 薬の処方はできない
鍼灸院では、医療行為が行えないことから「薬の処方も行えません」。
交通事故直後に我慢できないほどの痛みに襲われたときは、鍼灸院ではなく病院や整形外科に行くようにしましょう。医師が症状を診断したのちに、一時的ではありますが痛みを和らげる治療を行ってくれるでしょう。
交通事故が発生してから数日後、または数ヵ月後に起きた痛みの多くはむちうち症などの頚椎捻挫である可能性が高いです。これらの症状は、安静にしていたからと良くなることはありません。
医療機関では痛み止め薬や湿布薬の処方といった治療に限られますが、鍼灸院では薬を使わずに痛みを和らげ、さらには痛みの元となる部分を根こそぎ取り払うことを目的に施術を行います。
鍼灸院でできないことは医療機関である病院で治療を受けるのが一番です。しかし、病院でもできないことが少なからずあるので、症状が長引いているときには鍼灸院に通院することを検討してみてもいいでしょう。