自動車保険には強制加入が義務付けられている自賠責保険と、任意で加入ができる任意保険があります。
自賠責保険で補えない不足分は任意保険の補償を適用させて補うことができます。そのため、自賠責保険への加入はもちろんこと、任意の自動車保険にも加入することが一般的に勧められています。
一口で任意の自動車保険といっても、保険会社によりさまざまな内容の補償を組み合わせたセット保険があり、その名称は保険会社ごとにより違います。
以下は、セット保険の種類や特徴についてまとめています。
◎自家用自動車総合保険(SAP)
「自家用自動車総合保険(以下、SAP)」の正式名称は、「Special Automobile Policy(スペシャル オートモービル ポリシー)」です。
SAPは、対人賠償や対物賠償、搭乗者傷害、自損事故、無保険車傷害、車両保険がセットになっている保険であり「総合保険」とも呼ばれることがあります。
SAPには人身傷害補償保険が含まれていませんが、事故の状況によっては搭乗者傷害の補償範囲を適用して補償を受けることができます。乗用車を対象にしている保険であり、バイクや車種によっては加入できないことがあります。
セット保険の中でも加入率が高い保険であり、「対人事故・対物事故ともに保険会社が示談交渉を代行してくれる」というメリットがあります。
◎自動車総合保険(PAP)
「自動車総合保険(以下、PAP)」の正式名称は、「Package Automobile Policy(パッケージ オートモービル ポリシー)」です。
PAPは、対人賠償や対物賠償、搭乗者傷害、自損事故、無保険車傷害がセットになっている保険です。SAPとの違いは「車両保険が任意加入になる」、「保険会社が示談交渉を代行してくれるのは対人事故のみ」といったことです。
SAPとPAPのどちらかを選ぶときには、万が一事故にあったときの自動車の修理費用をどうしたいかによって異なります。
車両保険の補償を使って修理費用を工面したいときには「SAP」がおすすめです。一方で、保険を使わずに自費で修理費用を負担するときには「PAP」がおすすめです。
尚、車両保険が自動付帯していないことから、PAPはSAPよりも保険料が安くなるといった特徴があります。
◎一般自動車保険(BAP)
「一般自動車保険(以下、BAP」)の正式名称は、「Basic Automobile Policy(ベーシック オートモービル ポリシー)」です。
BAPの特徴は、セット内容がすでに決められているSAPやBAPとはちがい、必要な補償範囲だけを選べる保険だということです。
対人賠償や対物賠償、車両保険の中から基本となる一つを選ぶ必要はありますが、そのほかの補償については自分で選ぶことができます。そのほか、保険会社による「示談交渉サービスが付帯されない」ことが多いこともBAPの特徴です。
保険料をできるだけ抑えたいという方にとってBAPは、最適な保険といえます。しかし、補償範囲をしっかり把握しておかないと、万が一事故にあったときに全然使えない補償ばかりだったという事態にもなりかねません。
◎自動車運転者損害賠償責任保険(ドライバー保険)
「自動車運転者損害賠償責任保険(以下、ドライバー保険)」は、対人賠償や対物賠償、搭乗者傷害がセットになっている保険です。
免許は持っているけれど車を所有していない人や、ペーパードライバーといった人のために最適な保険です。
ドライバー保険が補償できる範囲は保険会社によって大きく異なるため、加入するまえに必ず補償範囲を詳しく確認しておきましょう。
最近はあまり運転をしない、運転するのは年に数回といった人向けに、短期(1日~)で契約ができる保険などもあります。
今回ピックアップした任意の自動車保険だけをみても、いろいろな種類のセット保険があり、その補償範囲やメリット、デメリットも違います。ディーラーや保険会社に言われるままに加入してしまっては、いざというときに使い物にならない保険だったということにもなりかねません。
任意の自動車保険に加入するときには各保険の特徴をよく理解したうえで、保険料などの判断材料をもとにご自身に合う保険を選ぶことがとても重要なのです。