新たに「中古車」を購入するときの悩みの一つが「車両保険」に加入するかどうかです。
任意保険の一つである「車両保険」の加入率は、全体で56.7%(日本損害保険協会2015年3月末)です。さらに詳しくみると、5年落ち以内の自動車になると加入率は約7割です。しかし、10年落ち以下になると約4割といったように加入率が下がっていきます。
中古車に車両保険をつける必要があるかどうかは、加入した場合のメリットやデメリット、それに保険を選ぶときのポイントなどを踏まえながら判断することが大切です。
目次
中古車に車両保険を付けることのメリットやデメリットとは?
中古車に車両保険を付けるメリット
少しくらいの傷であれば修理代もそれほど高くならないため、車両保険は必要ないと考える方も多いようです。しかし、万が一の交通事故により自動車が「全損(修復不可能な損害、自動車が盗難に遭った、契約の補償額以上の修理費がかかるなど)」になってしまったときはどうでしょうか。
保険会社に全損と判断されたときには、保険契約時の時価額から設定された保険価額が支払われます。保険価額があまり高額でなくても新しい車の購入に少しでも足しになるようであれば、車両保険を付けていたことがメリットに働くといえるでしょう。
そのほか、ローンの支払い中に全損事故を起こしてしまったときには、今後のローン返済のための費用に保険金を充てることも可能です。
中古車に車両保険を付けるデメリット
自動車の維持費を安く済ませたいときには、車両保険に加入し保険料を支払っていくことは一つのデメリットでもあります。それに車両保険を利用して自動車の修理をすると、翌年度からの等級が下がってしまい保険料も高くなってしまいます。
等級が下がってしまったあとの保険料の支払いを考慮すると、修理費用がそれほど高くない(10万円以下)ときには、保険を使わずに自費で修理したほうが結果的に費用を安く収えることができるのです。
保険会社によっては、10年~15年落ちの中古車には車両保険が付けられないとしていることもあります。
中古車と車両保険のタイプ
車両保険には主に、「一般タイプ」、「エコノミータイプ+限定A」、「エコノミータイプ」、「限定A」といったタイプに分かれています。
以下は、車両保険のそれぞれの保険タイプについて紹介します。
・中古車にはエコノミータイプ+限定A
中古車に車両保険を付けるときには、「エコノミータイプ+限定A」の車両保険を選ぶことがポイントです。このタイプが補償できる範囲は、ほかの車との衝突や接触、自動車が盗難に遭ったとき、自然災害による損害(台風や洪水など)、家事、落書きです。
尚、自損事故や当て逃げについては補償外となっています。
・エコノミータイプや限定A
「エコノミータイプ」や「限定A」は、エコノミータイプ+限定Aよりは保険料が安いのですが、補償範囲が少ないうえ保険会社によっては取り扱っていない場合があります。
保険料や保険金額の上限(自動車の時価によって設定される)によっては、車両保険を付けないほうが良いときもありますが、購入した中古車が10年落ち以内であれば車両保険を付けたほうが良いでしょう。
これ以上に古い中古車であれば車両保険を付けると損、もしくは付けられないといったことが考えられます。
中古車と免責金額の設定
中古車に車両保険を付けるメリットやデメリットを考慮したうえで、やはり車両保険に入っていないと不安だということがあります。そのようなときには、以下の方法でできるだけ保険料を安く抑えることができます。
・免責金額の設定
車両保険の保険料を安くする方法、それは「免責金額の設定」です。
免責金額とは、車両保険を利用して自動車の修理するときに「自己負担をする金額」のことを指します。免責金額は、1回目の事故では○万円、2回目以降は○万円といったようにあらかじめ金額を設定することができます。
1回目の事故に10万円と免責金額を設定していると、実際にかかった修理費用が20万円であれば自己負担で10万円、保険会社からは残りの10万円が保険金としておりることになります。
免責金額が高ければ高いほど保険料が低くなりますので、とにかく保険料を安くしたいというときには免責金額を1回目の事故で10万円、2回目以降でも10万円としておくのがベストです。
新車を購入するときにくらべ中古車を購入するときのほうが、さらに車両保険に加入するかしないかで悩む方が多いようです。万が一交通事故に遭ったときや、車両が故障したときの修理費用などを自費で支払える場合には高い保険料を支払ってまで車両保険を付けることもないようです。しかし、中古車の購入時に組んだローンを支払っているときなどには、車両保険に加入せずに事故を起こしてしまうとローンの支払いと修理費用を同時に支払わなければならなくなります。
中古車の購入に関しては当事者の状況によって車両保険に加入するべきかどうかを判断する必要があります。中古車に車両保険をつけることのメリットやデメリットなどを参考に最適な選択をしていきましょう。