一口に「むちうち症」といっても実際には種類や症状の違いがあることをご存じでしょうか。
むちうち症は、病院や整形外科でレントゲン検査やCTスキャン検査、MRI検査を受けても異常が発見されません。そのため、事故直後に痛みがあるときや首に熱をもっているようなときには、患部をなるべく動かさないようにして早めに病院で適切な診察を受けるようにしましょう。
◎頚椎捻挫型
交通事故のむちうち症で最も多いとされるのが、「頚椎捻挫型」です。むちうち症の7割ほどをこの頚椎捻挫型が占めているとされています。
頭を支える骨である頚椎の骨と骨のあいだ部分にある関節包や骨周辺の靭帯が、交通事故により強い衝撃を受けたことで損傷したことで起こる症状です。
自己判断がとてもむずかしい症状であり、人によってはただの疲れや倦怠感であろうと症状をそのままにしている人もいます。早期に治療を始めることで治癒する可能性が高くなるため、交通事故後に異変を感じたときには早めに医療機関で診てもらいましょう。
◎バレー・リュー症候群
むちうち症の中でも交通事故直後よりも1カ月~3カ月後に症状が現れることが多いの「バレー・リュー症候群」です。
病院の精密検査では発見されないため、自覚症状がでてはじめて気づく症状です。バレー・リュー症候群の症状は、自律神経のバランスが崩れたことによる頭痛やめまい、吐き気、耳鳴り、疲れ、視力の低下や目の疲れ、心臓辺りの痛みや息切れ、喉に感じる違和感や腕のしびれなどです。
交通事故発生時から数カ月経って生じた症状は、事故との因果関係を証明するのが難しいとされています。そのため、事故のせいではないと自己判断で決めてしまう前に、病院できちんと診察を受けるようにしましょう。
◎神経根症状型
自覚症状だけでなく神経学的検査を行うことにより症状の確認ができるのが「神経根症状型」という症状です。
神経根は脊髄の運動神経ならび知覚神経が集合している部位です。神経根に痛みを感じる原因は、交通事故の衝撃により腫れや炎症、圧迫などが起きているためだとされています。神経根に支障をきたすことで各神経の先の部分へ伝達されるため、身体の至るところにさまざまな症状が生じてしまうのです。
神経根症状型の主な症状としては、首の深い部分に感じる痛みや肩甲骨に感じる痛み、上腕部まで広がるだるさやしびれ、さらには顔面に感じる痛みなどがあります。
◎脳脊髄液減少症・脳脊髄液減少症
ここ最近むちうち症との関連性が指摘されている症状の中に、「脳脊髄液減少症」ならびに「脳脊髄液減少症」という症状があります。
病態はまだ解明されていませんが、原因不明の症状はこの症状によるものでないかと考えられています。
脳と脊髄の周りには髄液で満たされていますが、この髄液が少なくなることで頭痛やめまい、耳鳴り、倦怠感、視力低下、記憶力の低下などの症状を引き起こすといわれています。治療方法が確立されていないため患者によっては治療をする病院を探すこと自体が難しいようです。
今回紹介してきた「むちうち症の種類」は交通事故が原因で生じる症状に多いとされるものです。交通事故による症状の中ではむちうち症がとても多い症状とされていますが、このほかにも身体の不調や痛みの原因になっている症状があるかもしれません。
ご自身が思っているほど怪我の症状は深刻である可能性もあるので、自己診断だけで大丈夫と決めつけるのではなく、交通事故にあったときには必ず医療機関で精密検査を受けて早期治療を実現させましょう。