交通事故による症状は大きな外傷や後遺症だけに注目されがちですが、実は本人も気付かないうちに「不眠症(睡眠障害)」の症状に悩まされていることがあります。
不眠症は自律神経失調症やうつ病などを発症することもある危険な症状です。たくさん睡眠をとっていると思っていても朝起きると身体がだるい、眠りが足りない気がする、いくら寝てもすっきりしない、なかなか布団から出られないといった感覚があるときには質の良い睡眠がとれていないことが考えられます。
ここでは、以下のような内容に絞って交通事故による不眠について考えていきましょう。
交通事故で不眠症になってしまう要因とは?
交通事故によって負ったケガの症状は、外側から強い衝撃を受けた外傷や頸椎捻挫などの症状だけではありません。
首の痛みや歪み、さらには自律神経のバランスが崩れているときは「不眠症」という睡眠障害を発症することがあります。傷の状態が重いようなとき、むちうち症などの症状があるような場合は、治療が思いのほか長引いてしまうことも少なくありません。
治療が長期化すればするほど日常的に抱える痛みや不安などのストレスにより精神的にも大きなダメージを受けてしまうことがあるので注意が必要です。
精神的なダメージの度合いは当の本人はなかなか気付かないもので、結果的に不眠といった症状を引き起こすことにより症状の重症度を知ることになるのです。事故のあとに襲ってくる不安や恐怖心などといった「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」を発症してしまい不眠に陥る人もいます。
不眠症治療は治療が必要?
不眠症状を引き起こすと「免疫が低下し体調を崩しやすくなる」うえ、不眠の状態が長く続いてしまうと「うつ病」などの深刻な症状を発症することがあります。十分な睡眠がとれないことにより身体も心も疲れを発散することができず、常に「倦怠感」や「疲労感」を抱いてしまうのです。
こういった症状があるうちは頭痛やだるさ、食欲不振、肩こりなどの症状を引き起こしますので、不眠状態が続いているときには早めに適切な治療を受けることが大切です。
むちうち症などの痛みが原因で不眠症を引き起こすケースでは、神経内科や鍼灸や整骨院などで症状を緩和させるための治療を受けるといいでしょう。
精神的なストレスが原因のケースでは、心療内科にて診察を受けながらカウンセリングを受けることも一つの治療法です。
不眠症の効果的な解消法とは?
重度な不眠症状は、やはり医療機関で診察や適切な治療を受けることが望ましいですが、自宅でも気をつけておきたい「不眠の解消法」があります。
外傷があるときにはまずその部分の治癒を優先しますが、身体を自由に動かせるようになったらできるだけ運動をしてほどよい疲れを身体に与えることが大切です。急激な運動をするのがむずかしいときには、温めのお風呂に少し長めに浸かる、お風呂上がりにはゆっくりストレッチをする、日常生活のなかで意識的に歩く時間を長くすることも効果的です。
また熱中できる趣味を見つけて、日常的にストレスをため込まないことも大切です。普段の生活で不眠の解消法を試してみて、それでも改善の余地がないときには神経外科や心療内科で専門医師の診察を受けるようにしましょう。
鍼灸院での不眠症治療
不眠症治療に効果的とされるのが「鍼灸」です。
医療機関から処方された睡眠薬を飲まなくても睡眠がとれればそれに越したことはありませんよね。神経外科や心療内科での治療に効果がなかった人が「鍼灸治療」で効果を実感することがよくあります。
鍼灸治療は痛みのもとを取り除くほか、自律神経のバランスを整えることにより全身の機能調節を正常な形に戻すよう働きかけます。そのため患部だけでなく身体全身の調子が整い、結果的に良い睡眠を取り戻すことにつながっていくとされています。
交通事故では目にみえる大きな怪我には何とかしようという気持ちが湧きやすいのですが、目にみえない症状には事故との因果関係はないと自己判断してしまうことが多いのです。
事故から数日から数か月のあいだは、なにかいつもとは違ったことが起きたと思ったときには無理せず一度医療機関で診察してもらいましょう。