交通事故治療BIZ

【損害賠償請求】自賠責保険の被害者請求や加害者請求とは?

交通事故が原因で死傷といった損害を被った被害者の救済を目的としている保険が「自賠責保険」です。

今回は、実際に交通事故に遭った被害者が「自賠責保険の被害者請求」をするとき、そして加害者が自身の自賠責保険に「加害者請求」をするときを中心に、自賠責保険の損害賠償請求についてまとめています。

 

自賠責保険の「被害者請求」とは?

交通事故の被害者が、治療費などの賠償金を事故の加害者がなかなか支払ってくれない、または加害者側の任意保険会社から一括払いを打ち切られてしまったというときに「被害者請求」をすることができます。

 

・被害者請求をするメリット

任意の保険会社が進める後遺障害の事前認定よりも、被害者自身が中心となって行う請求のため被害者に有利な認定を受けやすいというメリットがあります。

 

・被害者請求をするデメリット

被害者請求には、さまざまな書類や手続きが必要になるといった負担(デメリット)があります。

 

・被害者請求~支払いまでの期間

被害者請求をしてから支払いが行われるまでは「通常1カ月以内」とされています。

任意保険会社から治療費などの賠償金の支払いを待つことなく、後遺障害等級に見合った自賠責保険の限度額を受け取ることができます。

 

 

自賠責保険の「加害者請求」とは?

「加害者請求」とは、交通事故の加害者から被害者へ支払いをした賠償金を加害者が加入する自賠責保険(保険会社)に請求することをいいます。

治療にかかった費用を賠償金として被害者に支払いますが、加害者請求をするには治療のときに受け取った領収書やそのほか必要書類を保険会社に提出する必要があります。

 

・加害者請求の時効

尚、加害者請求には時効があり、治療費などの賠償金を加害者から被害者に支払ってから「2年まで」となっています。

 

 

自賠責保険の過失割合について

任意保険の示談交渉では、被害者と加害者で過失割合がどれくらいあるかということが焦点になるとされています。

その反面、自賠責保険では事故の被害者を救済することを目的としているため、被害者に大きな過失がある場合を除いては補償額が減額されることはなく、被害者に有利に作られた保険ともいえます。

 

◎被害者への損害賠償額が減額になる例

被害者に7割以上の過失があったときは、被害者への損害賠償額が減額になるといわれています。

7割以上の過失とされるときは、たとえば被害者である歩行者側の信号が赤信号にも関わらず横断歩道を渡ったときに起きた事故や、被害者側がバイクや自動車を運転し侵入禁止の一方通行路に入っていたときに起きた事故などです。

この場合、被害者側にも明らかな過失があったとして損害額が減額になります。

 

 

治療費の支払いに「仮渡金制度」を利用する

加害者の保険会社に被害者請求をしても、すぐに賠償金を受け取れるわけではありません。

自賠責保険からの支払いを待っているあいだも事故による怪我の治療を受けますが、そのときの治療費は「仮渡金制度」を利用して当面の治療費に充てることができます。

 

◎仮渡金で支払われる額

損害賠償金額が確定まえであっても、事故により被害者が傷害を負ったときには症状の度合いに応じて5万円、20万円、40万円の仮渡金が支払われます。

また、事故により被害者が亡くなられた場合は、290万円の仮渡金が支払われます。

この制度を利用すると申請から約1週間で仮渡金が受けとれることもあり、被害者にとっては大変メリットが多い制度とされています。

 

 

 


自賠責保険は、交通事故により死傷した被害者の救済を目的としている保険であるため、加害者側がスムーズに手続きをしてくれないようなときには被害者から被害者請求をすることができます。また、加害者が自身の自賠責保険に対して加害者請求することもできますし、仮渡金制度を適用させて当面の治療費を受け取ることもできます。

自動車やバイクを運転するドライバーはもちろん自賠責保険について幅広い知識を有しておく必要がありますが、自転車に乗る方や歩行者の方もご自身の身を守るために自賠責保険の基本を抑えておくことはとても大切なことだといえるでしょう。