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労災保険を使った交通事故治療でよくあるトラブル

労災保険の「労災隠し」とは

仕事と関係のある状況で労働者が交通事故により怪我を負ってしまったときには、労災保険を使って交通事故治療を受けることができます。

しかし、残念ながらすべての労働者が気持ちよく保険を利用できるわけではなく、勤務している会社とトラブルに発展しているケースも多いのが現実なのです。

今回は、労災保険を利用した交通事故治療をするときに起こりやすいいくつかのトラブルを紹介します。

 

トラブル1:会社が労災に未加入、もしくは保険料を滞納していた!?

通勤中や業務中に交通事故に遭ってしまい労災保険を利用して治療を受けたいけれど、会社が「労災保険に加入していない」ことを理由に、労災保険の補償を受けることを断念してしまう人もいるようです。

雇用している労働者を労災保険に加入させるのは、「事業者の義務」です。会社に労災保険を使えないといわれても諦めてはいけません。

会社が労災保険に未加入、または保険料を滞納していたとしても、労働者が所定の手続き(事故後適用)を踏むことで労災保険からの補償を受けられるようになります。

国は事業者に対してこれまでの保険料や、場合によっては労働者に支払われた補償額の一部をペナルティー(追徴金)として請求するようになります。

 

トラブル2:労災にしたくない会社がある!?

交通事故治療で労災保険を使うことに難色を示す企業が多いようです。その理由として、保険を使って治療をすると企業が今後支払う保険料が高くなることを懸念してのようです。

しかし、実際には保険料が上がる事故は業務災害であり、「通勤災害」による保険料の値上げはありません。

ひどい事業者の場合は労災保険に未加入であることを労働者に知られないために、わざと労災保険を使わせないように仕向けることがあります。

 

トラブル3:労災保険が適用にならない通勤災害!?

労災保険を使った交通事故治療でよくあるトラブル

自宅から会社への通勤時に起きた交通事故は「通勤災害」として、労災保険の補償が適用されますが、細かいところでいうと労災保険が適用にならないケースもあるので注意が必要です。

たとえば、自宅から会社への通勤ルートを逸脱、中断していたときに起きた交通事故は、労災保険が適用されません。逸脱していたときとは、通勤ルートから逸れて食事や飲み会に行ったときや映画を観に行く、運動をしに行くときなどです。

一方で、合理的な経路及び方法であると認められるとき(日用品を買いに近くのスーパーやコンビニに寄った、病院を受診する、家族の介護など)に限っては、元のルートに戻ったのちに起きた事故であれば労災保険が適用になります。

合理的な経路及び方法による逸脱、中断であっても、目的地に向かっている最中の事故や、元のルートに戻るまでに起きた事故については適用対象外となりますので注意が必要です。

 

トラブル4:労災保険でなく健康保険を使うようにいわれた

業務中、通勤中に起きた交通事故については原則、労災保険を使って治療を受けるようになります。

会社から交通事故による怪我の治療に労災保険を使わないで「健康保険」を使うように勧められることがありますが、事故が業務災害や通勤災害である場合は健康保険を使って治療を受けることはできないため注意が必要です。

労災保険以外で業務災害や通勤災害の補償が受けられる保険には、加害者側の自賠責保険や任意保険などがあります。

 

 


労働者が就業中や通勤中に起きた交通事故に限らず、仕事上での過労やストレスによる病を患ったときなどに労災保険が認定されることがあります。事業主の勝手な判断で労災保険が使えないと制限することはできませんので、労働者自身も労災保険の特徴や補償内容、そしてよくあるトラブルなどを把握することでこういった問題を適切に対処していけるようにすることが大切なのです。

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